高血圧とは
血管壁にかかる圧力を血圧といいます。血圧計で測定すると、数値が2つ表示され、高い数値を心臓が収縮する収縮期血圧、低い数値は心臓が拡張する拡張期血圧を示します。収縮期血圧・拡張期血圧のどちらか一方だけ高い数値が出ても、血圧の高い状態が継続する高血圧と診断されます。高血圧は進行することで動脈硬化となり、心筋梗塞・脳卒中になる可能性が高くなります。中でも脳卒中を発症するリスク要因は、高血圧といわれています。高血圧と診断された場合、血圧のコントロールを継続していきましょう。
診療室血圧と家庭血圧
血圧とは、運動・食事・気温変化・心理状況・動作などの様々なことが影響します。家庭血圧とは自宅で測るもので低く出る傾向にあり、診察室血圧は病院で測るため高く出やすいため、基準値が異なります。この他に24時間血圧という特殊な装置を着用して、血圧の変化を測るものもあります。動脈硬化の進行度や、心筋梗塞・脳卒中の危険因子を確認することに役立つため、家庭用血圧計で日頃からご自身の血圧を計測して記録しておくことが治療を受ける上で役に立ちます。
高血圧の原因
高血圧は様々な原因によって起こり、塩分の過剰摂取・ストレス・肥満・喫煙・飲酒・運動不足などの生活習慣が大きく関わっています。高血圧を発症することは生活習慣病と関連していることが多く、糖尿病・脂質異常症などの合併症を引き起こしやすくなります。そのため、高血圧の解消・動脈硬化の進行を抑制し、生活習慣の改善を図る必要があります。内臓脂肪型の肥満と高血圧や脂質異常症などの様々なメタボリックシンドロームが合併した場合、数値の良否に関わらず動脈硬化が進行しやすくなっています。なお、高血圧は疾患や薬が原因で起こることもあり、この場合には原因となる疾患・薬を医師に変更してもらう必要があります。
高血圧の種類
高血圧には本能性高血圧・二次性高血圧と分けられ、本能性高血圧は遺伝的要因・生活習慣病が主な原因となります。二次性高血圧は、疾患・治療薬が原因となり、高血圧を発症している日本人の大多数は本態性高血圧になっています。二次性高血圧は、睡眠時無呼吸症候群・甲状腺疾患・内分泌疾患・血管疾患である腎血管性高血圧などが挙げられます。薬剤誘発性高血圧は、非ステロイド性消炎鎮痛剤・漢方の一種である甘草などが原因で起こります。
高血圧の症状
自覚症状の少ない高血圧は血圧を測定して判明することが多く、血圧が高いことで頭痛・息切れ・めまいなどの症状が起こることもあれば、数値がかなり高くても気づかないケースもあります。高血圧は放置することで動脈硬化の進行によって心筋梗塞・脳卒中を発症しやすくなるため、早期発見・早期治療が大切です。高血圧を指摘された場合、早めの受診をお勧めします。
高血圧の治療
高血圧改善には、肥満解消・適正体重の維持・減塩・禁酒・節酒・軽い有酸素運動を習慣化し、無理のない範囲でストレスなく継続することが大切です。生活習慣の改善を行っても効果が見られない場合には、薬物療法も併せて行いますが、薬物療法と同時に生活習慣の改善は継続します。生活習慣の改善は、様々な疾患の発症・進行の予防にも繋がります。高血圧症でお悩みの患者様は、当院内科外来および循環器外来にてご相談ください。
高血圧の放置
動脈硬化の進行、心疾患・脳卒中・慢性腎臓病などの重篤な病気を発症しやすくなります。近年の研究において、男女問わず脳卒中の発症は高血圧が深く関係しているとされています。
脳卒中
脳卒中は、収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇することで脳卒中を発症する可能性が男性で約20%、女性は約15%高くなります。脳卒中を発症すると運動障害・言語障害などの後遺症が残りやすい特徴があり、長期的なリハビリが必要になることがあります。
心疾患
心疾患を発症する危険性が高く、男性の方が女性よりも影響を受けやすい特徴があります。収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇することで狭心症・心筋梗塞の発症率が約15%増えます。
慢性腎臓病
高血圧は腎臓にも大きく負担をかける上、血中の過剰な塩分が排泄されずに血圧が上昇し、悪循環になります。慢性腎臓病は脳卒中・心筋梗塞を引き起こしやすく死亡率も高いです。