2型糖尿病とは
2型糖尿病は、体内のインスリンを効果的に利用できなくなることで血糖値が異常を起こし、慢性的に高い状態である疾患です。健康診断で血糖値の異常が指摘された場合は、この2型糖尿病の可能性があるため、注意しましょう。2型糖尿病は、放置すると心血管疾患や神経障害、視力障害などの合併症を引き起こす可能性が高いため、早いうちに受診しましょう。担当医から、適切な治療計画や生活改善策を提案してもらうことで、2型糖尿病の進行を遅らせ、合併症のリスクを軽減することができます。早期の対応が健康状態を維持する第一歩です。
2型糖尿病の検査
糖尿病の検査として血液検査と尿検査があります。一般的に糖尿病の疑いがある場合は両方行います。
血液検査
血糖値
血糖値は、血液中の糖の濃度を表す生体指数です。血糖値は食事をとる前と後で値が変わるため、空腹時と食後2時間後の血糖の状態をみることで、体内のインスリンが正常に働いているかを確認することできます。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)
HbA1cは、約1-2か月の血糖の状態を把握できる指標です。健康診断の前だけ生活習慣を改善すると、一時的に血糖値が低い結果が出てしまうため、HbA1cの値を調べることで中長期的に血糖値の状態が正常かどうかを判断します。
尿検査
尿検査によって、尿中アルブミンの量を測定します。尿中アルブミンはタンパク質の主成分で、健康な状態ならごくわずかしか見られませんが、腎機能が異常となると増加します。この数値が高いと、糖尿病の合併症である腎機能の障害が起きている可能性があるため、糖尿病を早期に発見する手助けとなります。糖尿病で尿中アルブミンが増加している場合は、将来的に人工透析になるリスクが上がるので、一度はこの検査を行ない、状態を把握しておきましょう。
2型糖尿病の診断基準
糖尿病の検査では、主に血糖値、HbA1c、尿中アルブミンの量を測定します。これらの検査結果を複合的に照らし合わせて、最終的に糖尿病の有無の診断となります。
血糖値の基準値
空腹時血糖
食後血糖
尿中アルブミンの基準値
尿中アルブミンの基準値は以下になります。
早期腎症の状態で治療を行うことで、将来的に人工透析になる危険性を回避することが可能です。
2型糖尿病の治療
治療目標
糖尿病治療の目標は、血糖値をなるべく正常の状態に近づけ、合併症を予防していくことです。血糖コントロールの目標値は年齢や合併症の有無により異なりますが、例えば65歳未満の方の場合は、合併症予防の観点からHbA1c7.0未満を目標値として設定します。HbA1cの目標値は以下の通りです。
治療方法
2型糖尿病の治療は、基本的に食事療法と運動療法の両面から行います。一定期間、食事療法と運動療法を行い、それでも効果がなかった場合は、薬物療法を検討していくことになります。
食事療法
食事療法では、患者様の年齢や性別、運動や生活習慣から適正カロリー摂取量を決めていきます。食事療法は長期間無理なく継続して行うことが大切になりますので、いきなり過度な食事制限をかけられるわけではございません。
運動療法
適度な有酸素運動や筋力トレーニングを行います。運動療法も食事療法と同様、長期間無理なく継続していくことが大切となりますので、無理のない範囲でのウォーキングや軽いジョギング・水泳などが一般的に勧められます。筋力トレーニングも同様に、自宅で長期間継続できるような、楽しみながら運動できるメニューをお勧めします。有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることによって、より良い治療効果が期待できます。
薬物療法
食事療法や運動療法を行っても十分な効果がなかった場合は、薬物によって血糖値を下げる治療へと進みます。具体的には、インスリンやGLP-1受容体作動薬の注射治療、経口血糖降下薬の内服治療を行います。