アニサキスANISAKIS

アニサキスANISAKIS

アニサキスとは

アニサキス

アニサキスは、海洋生物に寄生する寄生虫です。
細長くて白く、体調約15ミリと糸クズのような見た目です。
アニサキスの幼生に寄生された魚介類を人間が食べると感染し、激痛などを起こします。
近年、アニサキス症の発症数が増加傾向にありますが、これは冷蔵技術の進歩による鮮度の良い魚介類の取り扱いが増えたこと、そしてクジラなど最終宿主の生息数増加が関与していると考えられています。
アニサキスは生きたまま体内に入っても1週間程度で死滅します。
アニサキスが生きている間は痛みなどの症状が続きますが、胃カメラ検査で内視鏡によるアニサキスの除去が可能であり、ほとんどの場合は除去によって速やかに症状が解消します。
除去が困難なケースでも適切な薬を処方することで症状を緩和させることができます。
鮮度の良い魚介類を食べた後、みぞおちや胃周辺の痛み、下腹部の痛み、吐き気・嘔吐、発熱などの症状を起こした場合には、できるだけ早く当院までご相談ください。
アニサキスアレルギーは、アニサキスを完全に除去した魚介類を食べた場合も発症することがあります。
重篤なアナフィラキシーショックを起こす可能性もありますので、魚を食べてアレルギー症状が出たことがある場合はアニサキスアレルギーがないかを確かめることをお勧めしています。

アニサキスの症状

ほとんどは胃で症状を起こす胃アニサキス症ですが、まれに腸に寄生することもあります。
またさらにまれですが、消化管外に寄生してしまうケースもあります。それ以外では、アニサキスのアレルギーで症状を起こすこともあります。

胃アニサキス症

胃壁にアニサキスが食い込んで症状を起こします。
ただし、アニサキスを食べてしまっても症状が出ないケースも存在します。
アニサキスに寄生された魚介類を摂取してから3~4時間後に、みぞおちや胃の痛み、吐き気・嘔吐などの症状を起こします。
胃カメラ検査で内視鏡によるアニサキス摘出を受けるとほとんどの場合は速やかに症状がおさまります。
胃アニサキス症では、緊急の胃カメラ検査が有効です。できる限り対応していますので、アニサキス寄生が疑われる場合にはまずお電話でお問い合わせください。

腸アニサキス症

アニサキスが腸壁に食い込んでいる状態です。
アニサキスに寄生された魚介類を摂取してから十時間以上、遅い場合は数日してから下腹部の痛み、吐き気・嘔吐、発熱といった症状を起こします。
食べてからかなり時間が経過して症状が出ますので、注意が必要です。
胃アニサキス症に比べると発症頻度は低いのですが、ごくまれに腸閉塞や腸壁に孔が開く腸穿孔を生じることがあり、入院が必要になるケースもあります。

消化器外アニサキス症

アニサキスが消化管壁を破り、腹腔へ出てしまっている状態です。
腸アニサキス症と比べ、発症頻度はさらにまれです。消化管壁のダメージや寄生部位により、症状は異なります。

アニサキスアレルギー

アニサキスに対するアレルギーですが、青魚アレルギーと誤解されているケースがよくあります。
中心まで十分に加熱されている、またはアニサキスを完全に除去したものでも、アニサキスに寄生されていた魚介類を食べることでアレルギーを発症することがあります。
主な症状は、じんましん、皮膚や粘膜の腫れですが、呼吸困難・血圧低下・意識消失など危険なアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
疑わしいアレルギー症状を起こしたことがある場合には、アニサキスアレルギーの有無を調べてもらうようお勧めしています。

アナフィラキシーショック

放置してしまうと命にかかわる可能性のある緊急性の高いアレルギー症状です。
アレルギー症状は体調などによって現れ方が変わりますので、これまで軽い症状しか起こしたことがなくてもアナフィラキシーショックを起こすことがあります。

アニサキスが発見されやすい魚

アニサキスが発見されやすい魚

生で食べることが多いサバ・カツオ・イカをはじめ、イワシ・ホッケ・サンマ・アジ・サケなど、食卓に並ぶことが多い身近な魚による発症が多いとされています。
ただし、アニサキスはほとんどの魚やイカに寄生している可能性があります。また、酢で締めてもアニサキスは死滅しませんので、シメサバも危険です。

アニサキスの検査・治療

検査

前日や当日の食事内容、症状をくわしくうかがって胃カメラ検査を行います。
疑わしい症状がある場合には、食事をせずに電話などでまずはお問い合わせください。
なお、小腸にアニサキスが寄生している可能性がある場合には、腹部超音波(エコー)検査、X線検査などを行います。

治療

胃カメラ検査中に発見したアニサキスを内視鏡で検査中に除去します。
全てのアニサキスを除去できれば、ほとんどの場合は速やかに症状が改善します。
小腸など内視鏡での摘出が困難なケースでは症状を抑える薬を処方し、アニサキスの死滅を待ちます。一般的に1週間程度でアニサキスは死滅します。

予防について

アニサキスに寄生された魚介類を生あるいは加熱が不十分な状態で食べると感染します。
アニサキスは中心まで60度以上で1分以上加熱、またはマイナス20度以下で24時間以上の冷凍によって死滅します。
刺身でも正しく冷凍した後で解凍したものであれば安心して食べられます。
アニサキスは目で見えるサイズですが、表面には見えない部分に入り込んでいることもあります。
また、よく噛むことや、釣った魚の内臓をすぐに取り出しなどでもある程度リスクを低下できますが、それで100%防げるとは限りません。

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