膵炎とは
膵炎(急性膵炎)とは、膵臓から分泌させる膵液という消化酵素によって、膵臓そのものを消化してしまうことで炎症を起こす病気です。放置すると、最悪の場合多臓器不全となり致命的になるケースもありますので注意が必要です。
急性膵炎と慢性膵炎
上記の通り、膵臓がダメージを受け、炎症を起こすのが急性膵炎です。急性膵炎を何度も繰り返すと、慢性的に膵臓の機能が悪くなります。これが慢性膵炎です。 慢性膵炎は、長い時間をかけて膵臓に炎症が繰り返し起こることで膵臓が少しずつ破壊され、線維組織に置き換えられる状態です。アルコール過飲が主な誘因として挙げられます。慢性膵炎は現在の医療では治すことができないため、リスクを高める生活習慣ン度を避けることが大切です。
膵炎の症状
上腹部痛が多い傾向にありますが、腹部だけでなく背部にまで痛みが及ぶこともあります。その他にも嘔吐、発熱などの軽度症状があります。状態が悪化していくにつれ、意識障害やショック状態など重症化する危険性も伴います。
膵炎の原因
アルコール
男性の罹患原因で、多くの割合を占めるのがアルコールです。急性膵炎の4割、慢性膵炎の6割がアルコールを原因とします。原因としては、アルコールを摂取することで膵臓の細胞がアルコールによって傷つけられたり、アルコールを分解するために膵液を過剰に分泌させてしまうことで、膵臓が炎症を起こすことが挙げられます。
胆石
女性の罹患原因で、多いのが胆石です。胆管と膵管の出口は共通しているため、胆石による膵炎は、胆管から落ちてきた胆石がこの出口に詰まることで生じます。高齢者では男女問わず胆石による膵炎の割合が増加します。
その他
その他では、薬剤性、内視鏡検査の偶発症、ウイルス感染症、脂質異常症などが原因として考えられていますが、1/4は原因不明とされています。
膵炎の検査
まず、血液検査、腹部超音波検査、CT検査などを行います。また急性膵炎の原因検索や重症度などによっては追加の検査が必要となります。また、膵臓でできる膵石が見つかれば、慢性膵炎の診断が確定します。
膵炎の治療
急性膵炎の治療
絶食と点滴が基本となります。食事をすると膵臓の消化酵素がより活発に分泌されてしまうため、絶食して膵臓を休めます。また、お腹の中に浸出液と呼ばれる液体がたまることで本来水分が必要な血管内で水分不足となります。これを補うために十分な点滴が必要となります。その他の治療としては、膵臓の炎症を抑えるための抗生物質、膵臓の消化酵素を抑える薬剤、胆石を除去する処置など、患者様に応じて提案していきます。
慢性膵炎の治療
上記の通り、慢性膵炎は進行性の病気であるので、基本的には完治しません。ただし、生活習慣の改善や、適切な治療によって病気の進行を遅らせることは可能です。アルコール性慢性膵炎の場合は、治療の基本は禁酒です。また、喫煙も慢性膵炎を悪化させる起因となりますので、禁煙も重要な治療法です。