バルトリン腺とは?
バルトリン腺は、膣の入口から約1〜2センチの位置の左右に1つずつ存在します。全体の大きさは約1センチで、導管を通じて約2ミリメートルの排出口から、性行為を円滑にするための粘液を分泌します。
バルトリン腺に現れる症状
バルトリン腺のう胞
バルトリン腺のう胞とは、導管に粘度の高い分泌物が詰まってできるのう胞のことを言います。これが原因で膣の入り口が腫れ、ピンポン球くらいまで膨らむことがありますが、通常は痛みを伴いません。詰まっていた粘液が排出されると、導管の詰まりが解消され、腫れも自然に引きます。
バルトリン腺炎
バルトリン腺炎とは、細菌が導管に侵入して感染し、炎症を起こしている状態を言います。症状として、痛み、腫れ、赤みなどが生じます。従来は、淋菌が原因によるものがほとんどでしたが、現在では、大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌によるものが大半を占めます。
バルトリン腺膿瘍
バルトリン腺膿瘍とは、バルトリン腺炎が進行し、炎症がバルトリン腺深くに達し、バルトリン腺に膿が溜まっている状態を言います。痛み、腫れ、赤みがさらに強くなり、立ったり座ったりするだけで、痛みが生じます。
バルトリン腺の治療
膣口に位置する分泌腺であるバルトリン腺に細菌が侵入して感染し、炎症を起こすと、バルトリン腺炎やバルトリン腺膿瘍になります。治療は、まず抗生剤を投与することで細菌感染のコントロールをします。化膿して外陰部が腫れ、患部の痛みが強い場合は、抗生剤の投与とともに、切開や穿刺によって膿を排出しなければなりません。 感染が落ち着いても、大きな嚢胞や縮小しない嚢胞が残存している場合は造袋術(開窓術とも言います)を行います。具体的には、局所麻酔をした後で嚢胞にメスで大きめの孔を開け、孔が塞がらないように縫合します。再発が全く起きないわけではありませんが、切開したり針で孔を空けたりして、粘液を除去するだけの切開術や穿刺術より再発率は低いです。 当院では、外陰部の腫れや強い痛みを伴う化膿が繰り返し再発する場合に切開排膿術を行っています。手術は10分ほどで終了し、入院のない日帰り手術になります。