B型肝炎・C型肝炎

B型肝炎・C型肝炎とは

B型・C型肝炎は、ウイルスが肝臓に炎症を引き起こし、肝機能を悪化させる感染症です。B型肝炎はB型肝炎ウイルスが、C型肝炎はC型肝炎ウイルスが原因で起こります。性行為によって感染するため性感染症としても分類されていますが、性行為以外の方法で感染するケースがあります。

自覚症状が乏しいケースも

肝臓は、重篤な状態になるまで目立った症状が出にくいため、B型・C型肝炎にかかった場合でも、進行するまでなかなか発症に気付かれません。健康診断での血液検査では、AST、ALT、血清ビリルビンなど肝機能を示す指標があり、これらの数値が基準を超えると機能障害が疑われます。数値の異常をきっかけに精密検査を行った結果、B型・C型肝炎が見つかったという方も少なくありません。そういったことがあるため、健康診断は毎年欠かさず受けるように心がけましょう。

劇症化、肝硬変・肝臓がんになるリスク

肝臓は症状が現れるまでにかなりのダメージを受けていることが多く、気付かないうちに幹細胞が壊されて肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあります。B型肝炎では急激な症状が現れやすく、劇症肝炎への移行が他よりも多いです。一方、C型肝炎は肝硬変や肝がんを引き起こす主要な原因の一つとされています。

一過性感染と持続感染

感染症は、「一過性感染」として短期間で解決するものと、「持続感染」として生涯にわたって続くものに分類されます。B型肝炎の場合、持続感染は通常、幼い頃の母子感染によって引き起こされます。C型肝炎においては、感染者の約70%が持続感染となり、感染した時期を問わず病気が進行します。

B型肝炎と母子感染

B型肝炎に持続感染している母親が出産すると、赤ちゃんへの母子感染が起こります。その場合、赤ちゃんもB型肝炎の持続感染になるリスクがあります。

急性肝炎と慢性肝炎

B型肝炎もC型肝炎も、血液を介した感染、母子感染、または性的接触によって伝播します。

B型肝炎・C型肝炎の感染経路

大人がB型肝炎ウイルスに感染すると、急性肝炎の症状が現れることがあります。これらの症状は自然に消えることもあり、その後「無症状キャリア」状態になることもありますが、慢性肝炎へと進行してしまう方もいます。慢性肝炎に進行した場合、肝臓の損傷が進み、肝硬変や肝がんのリスクが高まります。 C型肝炎の場合、急性肝炎を発症することは稀ですが、感染後に慢性肝炎になる可能性が高いとされています。 血液を介した感染は、輸血や注射器・鍼の共用、ピアスやタトゥーの施術、カミソリや歯ブラシの共有などによって起こります。

母子感染

母親がB型肝炎にかかっている状態で出産すると、赤ちゃんにもうつってしまう可能性があります。

B型肝炎・C型肝炎の症状

B型肝炎

B型肝炎に感染すると1~6ヶ月の潜伏期間後に急性肝炎が発生し、黄疸(おうだん)や褐色尿、発熱、食欲減退、倦怠感、吐き気などの症状が現れます。これらは通常数週間で自然に消えますが、その後80~90%の方が無症状キャリアになり、10~20%は慢性肝炎へと進行します。慢性肝炎になると肝臓の損傷が進み、肝硬変や肝がんのリスクが増加します。

C型肝炎

C型肝炎ウイルスに感染した後、その多くは無症状ですが、約20~30%の方に腹痛や食欲不振、倦怠感、褐色尿などが見られます。感染者の約30%は自然にウイルスが排除されますが、残りの約70%はウイルスを保持し続けるキャリア状態になります。キャリアとなった場合、慢性肝炎を発症し、倦怠感などの症状が出ることがあります。慢性肝炎が進行すると肝細胞の破壊が進み、肝硬変や肝がんの発症リスクが増大してしまいます。

感染を放置した場合のリスク

慢性肝炎を発症すると、肝臓の炎症が続いて肝細胞を徐々に壊し、肝硬変や肝がんのリスクが高くなってしまいます。きちんと治癒させるには、早いうちから確定診断をつけてもらい、個々の状況に応じた治療を始めることが大切です。

B型肝炎・C型肝炎の検査

肝炎が進行すると治療が難しくなり、肝硬変や肝がんのリスクも高まります。そのため、健康診断でAST、ALT、血清ビリルビンなどの肝機能指標に異常が見られた場合は、早期に医師の診察を受けることが大切です。

B型肝炎の検査

HBs抗原検査

B型肝炎ウイルスの感染の有無を確認するために行われます。当院では当日検査結果が出るプランもご用意しております。

C型肝炎の検査

HCV抗体検査

C型肝炎ウイルスの持続感染がある場合、この検査で陽性と判定されます。また、過去に感染したが治癒し、現在はウイルスが消失している場合でも、陽性となる可能性があります。

B型肝炎・C型肝炎の治療

B型肝炎

急性肝炎だった場合は休息を優先させ、必要に応じて点滴による水分と栄養補給を行います。慢性感染にはインターフェロンや核酸アナログなどのお薬を用いて、一人ひとりの状況に合わせた治療が実施されます。

C型肝炎

C型肝炎の治療でも急性肝炎時は安静を保ちつつ、水分と栄養の点滴補給を行います。近年では慢性肝炎の場合、インターフェロンを使用しない抗ウイルス薬治療がよく選択されています。

B型肝炎・C型肝炎の予防

女性は妊娠中の検査を通じて母子感染を予防することが大切です。可能であれば、妊娠前にブライダルチェックとしてパートナーと一緒に検査を受けることをお勧めします。 B型肝炎には予防ワクチンが存在しますが、C型肝炎にはワクチンがないため、母子感染のリスクは比較的低いとされています。 成人におけるB型肝炎およびC型肝炎の感染は主に血液を介して起こります。性行為時の出血を避け、歯ブラシやカミソリの共有を控えるなど、感染リスクを高める原因を避けるように心がけましょう。また、他人の血液に触れないようにすることも、感染予防には重要です。